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小型底びき網漁業

今回乗船させて頂いたのは、山口県防府市向島の山口県漁協吉佐支店向島支所所属、河内山 満政氏の秀漁丸。
瀬戸内海側の主要な漁業種類である小型底びき網を営む河内山氏は、この道38年の大ベテラン。周囲でも一目置かれる漁師さんです。

新たな担い手の育成の取り組み

山口県は、日本海・響灘・瀬戸内海と三方が海に開け、豊かな漁場がそれぞれ形成され、古くから漁業が盛んである。

この向島地域では、近年、漁業者の高齢化に伴う漁村の衰退が進んでいることから、県内外から漁業就業希望者を募集し、漁業研修生として師匠の船に最長3年間乗り込ませて技術を教えて、漁師を育てる「新たな担い手の育成」に積極的に取り組んでいる。

漁法の紹介図

小型底びき網漁業とは、海底付近のエビや魚(ハモやタイ)を袋網と呼ばれる網を船で曳き、漁獲する漁法である。

河内山氏も新たな担い手の育成に尽力している。昨年、漁師になるために、奈良県から移住して来た小林健児さんを漁業研修生として迎え入れ、平成31年の独立に向けて、現在、漁業研修を実施しているところである。

11月上旬、秀漁丸に乗船したので、漁業研修の様子をご紹介します。

出港前、河内山氏と小林氏は網に破れやほつれがないか確認し、午後2時港を出港。

出港

漁業研修を開始して一年を経過しようとしている小林氏が舵を握り、漁場へ向かう。師匠の河内山氏は、船尾からその様子を見守る。

この日の目的の漁場まで移動した後、河内山氏指示の下、網入れを開始する。網を入れてから網揚げを行うまで時間があるため、周囲の安全に配慮しつつ、師弟同士がコミュニケーションを図りながら、網揚げまで待機する。

網揚げ開始時間となり、河内山氏指示の下、網揚げを行う。この日も、ハモ、タイ、アカエビ等の様々な魚介類が漁獲された。

漁獲された魚介類の選別

漁獲された魚介類の選別

市場出荷前は、河内山氏と小林氏で活魚を〆ていき、〆た魚と魚種ごとに選別した魚を自らが丁寧に市場に並べる。

鮮魚が並んだ市場

漁獲後すぐに再び網入れを開始する。先ほど漁獲された魚介類は、次の網揚げを開始するまでに魚種別、大きさ別に選別を行い、また、活魚として出荷するものは、イケマに活かし、市場出荷に向け備えて置く。

その後は、再び網揚げを開始し、数回同様の作業を繰り返し、漁獲していく。

最後の網揚げ終了後、地元市場へ出荷するため、午前4時に市場前に帰港。

出荷作業を終えた、午前5時に向島漁港に向け帰港する。

河内山氏と小林氏

帰港

帰港後は、船の掃除や機器・漁具のメンテナンス等を行った後帰宅する。その日のうちに疲れをとり、次の日の操業に向け体を休める。

市場に並べられた出荷物は、午前5時30分から市場職員によってセリにかけられ、買受人によって競り落とされる。その後は、買受人によって料理店等に卸される。

【向島支所からのメッセージ】

向島は山口県防府市に所在し、自然豊かな地域で、干潟や岩礁域が多く、古くから小型底びき網、建網、素潜りなどの漁業が盛んな地域です。
漁港から防府市内の町まで車で約10分、近くにスーパーやコンビニもあり、日常生活に不便なく、住みやすい環境が整っております。
現在は、5名の新規就業者が独立し、また、2名の研修生が独立に向け研修に励んでおり、浜の活性化に取組んでおります。
今後も漁業と地域を活性化させていくために、活性化にやる気のある人材を定期的に受け入れていきたいと考えております。